夏のマイニングリグの熱対策:エアコンを使わない効率的な排熱方法のまとめ

冬場は外気温が低かったので何もしなくても大丈夫でしたが、夏場は死活問題です。効率的なマイニングリグの熱対策がないか、いろいろ調べてみて良さそうだったものをまとめたいと思います。

マイニングリグの排熱の重要性

リグは、その消費電力に相当する暖房器具と同じくらい熱を発します(例えば、1000Wのマイニングリグであれば、1000Wの温風機を動かし続けているようなもの)。そのため、室内でリグを稼働させている場合、夏場は部屋がサウナ状態になるほど室温が上昇します。

また、こうなるとグラフィックボードが充分に冷却できず、寿命を縮ませる原因にもなります。GPUを長く使うためにも、発生する熱を効率的に排出する必要があります。

エアコンを使うのも1つの手ですが、マイニングの環境負荷が問題視されている状況ですので、できるだけ電力を消費しない冷却方法を探したいところです。

マイニング中のGPUの適温

redditやBitcointalkを見てみると大体の目安として、GPU coreで69℃以下、VRAMで95℃以下が安心して稼働できる温度だそうです。なので、夏場でもこの温度以下で運用できることを目指す必要があります。

参考までに、海外サイト(coin guide)のユニークな記事を翻訳したものを引用します。

30°C – 49°C: この温度では、マインクラフトをプレイする以外、主要なタスクは実行できません。あなたのGPUがマイニングしていることは確かですか?

50°C – 59°C: あなたのGPUはもっと優れています。クロック不足ではありませんか?

60°C – 69°C: GPUが許容できるハッシュレートを出していることがわかる温度です。エネルギーが最適化されている、よし! 電気代が節約できていますね。

70°C – 75°C。ハッシュレートが向上します。これは、新世代のグラフィックカードで許容される最適な温度です。TDPが85%以下であれば、簡単に達成できるはずです。寒い地域にお住まいの方は、部屋を暖めるのにも適した温度です。

75°C~79°C。ほとんどのGPUはこの温度に対応できます。しかし、あなたのGPUがより良い結果を出すことはないので、安全のために少しだけ下げてください。

80°C – 89°C: 無駄な電力を使いすぎています。この範囲では、GPUは問題なく動作しているように見えるかもしれませんが、確実にハードウェアにダメージを与えています。TDPを下げて、最低でも70℃台半ばまでにしてください。

Safe GPU temp – Optimal GPU mining temperatures for GPU longevity

排熱方法1:ベランダサーバー化

マイニングリグを丸ごと屋外に置く方法です。日本人マイナーの方の記事を多く、参考に見かけます。

吸排気がベランダで完結するため、効率的に冷やせる上、リグのファンによる騒音もなくなります。

ただし、ベランダに設置するため、こまめな管理、電源の確保、盗難・防塵・雨風への対策が必要です。

遮熱塗料でコーティングして、5℃近く下がったという報告も見かけました。

排熱方法2:グロンテントによる管理

こちらは室内で完結します。海外勢の記事が多い印象ですね(治安のせい?)。

設置がカンタン(盗難や雨風対策は不要)であり、管理しやすい利点があります。

ファンの騒音が残るのと吸気口、排気口の確保が難点かもしれません。

排熱方法3:本格水冷化

リグ本体は部屋の中に設置し、水冷化にしてホースをベランダのラジエーターにつないで、熱を屋外に出す方法。

冷却性能は最高であるものの、本格水冷化の手間がかかり、ラジエーター、冷媒、ポンプ、ホースなどの本格水冷用の部品コストが高くつきます