幹線道路沿いマンションでの排気ガスの対策

大通り沿いのマンションはアクセス面で便利な反面、車の排気ガスの影響が気になります。

健康に悪影響を考えると、交通量の多い道路沿いに住むなら、排気ガスについて注意しておくに越したことはありません。

今回は、排気ガスの実態などについて調べたことをまとめ、その対策について考えてみたいと思います。

排気ガスに含まれる主な成分

排気ガスは、車両のエンジンから排出されるガス微粒子の混合物です。

具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)
    ガス状成分。二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物は窒素酸化物(NO)と二酸化窒素(NO2)などが含まれ、スモッグや酸性雨と関係。
  • 揮発性有機化合物(VOC)
    ガス状成分。ベンゼンやホルムアルデヒドなどの炭化水素類およびアルデヒド類。
  • 浮遊粒子状物質(SPM)
    粒子状の物質。ものの燃焼などによって生成される。直径2.5μm以下の微小な粒子は、PM2.5と呼ばれる。

ガス状物質であるSOxやNOx、VOCは目に見えないので気づきにくいですが、SPMは塵積ってベランダが煤っぽくなる要因でもあるので、気になっている人が多いとも思います。非常に小さい粒子なので、風に乗って高層階にも届きます(PM2.5は大陸からも来るくらいですしね)。

特にPM2.5は肺の奥深くまで入り込み、呼吸器系や心臓の病気の原因となるため注意が必要です。

PM2.5の大きさについて
PM2.5の大きさについて(引用:独立行政法人環境再生保全機構)

引用:自動車排出ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の排出実態

どのくらい多いと問題になるか?

排気ガス中の成分のうちPM2.5の濃度基準(人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準)は、

  • 1年平均:< 15 µg/m3
  • 1日平均:< 35 µg/m3

と、環境省の定めてられています。

逆に注意喚起レベルは「> 70 µg/m3」です。

交通量や風向き、PM2.5を生成する光反応が増える夏など、さまざまな条件により日々は変わります。短期的にに増加しても1日平均値を下回ることが望ましいとされています。

実際どのくらいの濃度?

実際の濃度は各自治体のリアルタイムモニタリングが参考になります。

東京都でも、ここしばらくは10-20 µg/m3と安全な基準内で推移しています → 東京都環境局:PM2.5の常時監視測定

周辺への飛行距離

排気ガスから放出された粒子やガスは、風に乗って遠くまで拡散することもあるため、幹線道路から遠くても、風下であれば排気ガスに晒される可能性が考えられます。

道路の交通状況や気象・地形条件にもよるのであくまで1つの目安になりますが、東京都環境公社が行った幹線道路沿道における調査では、以下のようにあります。

  • PM2.5の濃度は、道路際(0m)で注意喚起レベル(80 μg/m3程度)
  • 道路から30 m地点まで離れると安全な基準内まで低下(30 μg/m3)
  • ただし、風向きによっては80 m地点でも30 m地点より高濃度。
  • 30~80mの間ではあまり変わらないとの結果も。

ある道路からは離れても、今度は別の道路に近づいていることになるため、30m以上では差が出にくいのかもしれません。

2003年のデータなので今より排ガス規制などが緩い状況での結果ですが、都市部であれば道路際でなくても注意しておきたいと思えます。

実際にできる排気ガス対策

室内空気への対策

空気清浄機の設置

まず最初に思いつくのが空気清浄機です。HEPAフィルターではPM2.5、活性炭フィルターでは硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)を除去することができます。

最近ではダイキンダイソンが自動車の排気ガス対応を謳った製品を出しています。

ただし、欠点は場所をとることです。ただでさえマンションは狭いので、スペースを有効活用したい場合は次の方法が有効と考えられます。

エアコン用PM2.5フィルターの取り付け

もともとあるエアコンにフィルターを追加するだけなので、場所も取らず、追加費用も最小限に抑えられます。

これらは室内の空気を循環させて清浄する仕組みです。室内の空気が入れ替わってしまうと効果が低下するため、以下の対策も併用するとより良いかもしれません。

外気を取り込み時の対策

換気口フィルターの追加

ユニックスの24時間換気用のフィルターは「捕集効率:95%(質量法/JIS 15種)、PM2.5:50%」を謳っており、うちでも愛用しています。

網戸用フィルターの取り付け

換気口のフィルターは空気清浄機やエアコンにつけているものよりも劣化や目詰まりが早いので、こまめに交換します。これにより、室内の空気品質を改善できます。

まとめ

幹線道路沿いにあるマンションでの生活は排気ガスが課題の1つですが、適切な対策によって快適な環境を実現できます。

空気清浄機、エアコンフィルター、換気口フィルターなどの利用は、健康的で快適な生活を維持するのに役立ちます。

自分自身と家族の健康を守るために、これらの対策をぜひ検討してみてください。