hepatocyteとかS9とかvitro試験で汎用される組織由来画分
薬物動態・薬物代謝研究のin-vitro試験で汎用される肝組織由来成分について、それぞれの特徴や違いに関したメモを記します。
hepatocyte(へパトサイト、肝細胞)
肝臓を破砕し均一にした懸濁液(肝ホモジネート、肝遊離細胞)から、肝細胞を単離したもの。
肝細胞がそのままの状態で保持されているため、比較的in-vivoに近い。S9やミクロソーム画分では進行しにくいような抱合反応の再現性もよい。トランスポーター経由の取り込みや薬物間相互作用、CYP酵素誘導の評価に活用できる。一方で、凍結保存や解凍時の生存率に注意が必要。
S9画分
イメージとしては、肝細胞から代謝酵素をふくむ画分を抜き出したもの。
肝ホモジネートを遠心分離した上清(上澄み液)で、細胞膜や核、ミトコンドリアなどが取り除かれている。以下のような薬物代謝にかかわる多く酵素群を含む。
シトクロムP450(CYP), フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO), カルボキシエステラーゼ(CES), epoxide hydrolase(EH), UDP グルクロン酸転移酵素(UGT),硫酸転移酵素(SULT)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST), methyltransferase, acetyltransferaseなど
肝ミクロソーム
S9をさらに遠心分離したときの沈殿。小胞体断片(遠心分離の際にちぎれる)やリソソームが含まれる。
小器官の1つ。 網状の膜をもった構造をしている。
糖・脂質代謝、ステロイド・タンパク質合成に重要な機能を持つ。
シトクロムP450やオキシゲナーゼなどが膜状に局在している。
1層の膜からなる小胞。
グリコシダーゼ、ペプチダーゼ等の加水分解酵素を含む。
細胞内の異物や自己消化に重要。
多くの薬物や異物がCYPによって代謝・解毒されるため、「CYPをふくむ単純な系であるミクロソーム画分」が実験に汎用されている(近年はCYP以外の代謝も重要ではあるが)。凍結保存に対する安定性、再現性、市販品の充実などの理由からも利用しやすい。
CYP,UGT,CESなど
サイトゾル
S9をさらに遠心分離したときの上清
GST,SULTなど
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