デスクトップPCの消費電力を最小限にするためのパーツ選定&運用
最近は省電力化が進んでいるとはいえ、デスクトップパソコンはノートPCに比べてアイドル時・作業時ともに2倍以上の電力を消費します。ノートPCだけを使っていた環境から、初めて自作パソコンへ切り替えた時はショッキングだったのを覚えています。
デスクトップパソコンでも、できるだけ消費電力を抑えた構成にするにはどうすれば良いか、調べた内容をまとめておきます。
CPU
- TDPが低いほど最大消費電力が低い
intelだとCore Tシリーズ < Core Sシリーズ < Celeron < Pentium < Core i3,5,7,9 - 最近のCPUはCステート機能があるから、アイドル時の消費電力は変わらない
- BIOSから最低動作周波数やCPUの電圧を下げる方法もあるが、ハードルはかなり高い
(最悪起動しなくなる)
ハイエンドCPUでもアイドル時はローエンドと変わらないのは意外だった。
下の表は「AKIBA PC Hotline!」さんのものを一部改変したものだが、同世代のi7-6700K、6700T、i5、i3、Pentium、Celeronでは、すべて22.5W前後で差がないことがわかる。
むしろハイエンドCPUの方が低負荷時にシステム全体の電力管理の最適化(メモリのクロックを下げるなど)する機能があり、PentiumやCore iシリーズのほうがアイドル時は省電力なこともあるらしい?
→消費電力におけるi7とCeleronの比較
Cステートについてはこちら↓
CPUがアイドル状態のときのエネルギー節約のために、CPUを低電力モードにすることができます。それぞれのCPUには複数の電力モードがあり、まとめて「C-State」または「Cモード」と呼ばれます。(中略)CPU内のアイドル状態のユニットに対するクロック信号と電力をカットように機能します。クロックのカット、電圧の低下、またはより完全なシャットダウンにより停止したユニットが増えると、より多くの電力を節約できます。
C-Stateとは?
末尾にTやSが付いた省電力版は単体パーツはほとんど見かけず、組み込みで販売されることが多いため入手困難。必要ならオクで探すのが良さそう。
マザーボード
- チップセットがハイエンドなものほど消費電力が高い(詳しくは各チップセットのTDPを参照)
- ATX > microATX > miniITX の順で小さくなりそうだが誤差程度との意見も
- オンボードで多機能なものほど消費電力も高くなる
オンボードの機能はBIOSで無効化すればある程度は対処可能だし、後から必要になったもの(Wi-fiとかサウンドカードとか)を外付けで加えるよりかはマシなので気にしすぎるのもよくない。
メモリ
・遅いメモリを使えば消費電力は下がる(2133<2666<3600)
・8Gを2枚挿すより、16Gを1枚だけにすれば消費電力は下がる
微々たるものだが、ここにも拘れば~10wくらい差が出てくるとのこと。BOISでメモリ速度を落とせるマザーボードであれば、すでに購入済みでも省電力化可能。
メモリなんてどれでも…
DDR4メモリの“本当の性能”をあらゆる角度から徹底的に検証してみた
HDD/SSD
- 搭載する数は少ないほどよい
- HDD(~5W)よりSSD(~1W)が圧倒的に省エネ
グラフィックボード(GPU)
- 「省エネのみが目的の構成」ならCPU内蔵グラフィックで乗り切る
- 「性能も欲しい」なら出来るだけワットパフォーマンスの高いグラフィックボードを使用する
- 最近はセミファンレス設計のGPUも出てきている
- 外付けGPU(eGPU)にする
GPUは載せただけ消費電力が跳ね上がるので、ThunderBolt 3接続で必要に応じて付け外しできる外付けGPU(eGPU)は憧れる。ただしコスパは最悪なのが欠点で、下の商品など最低価格3万円くらいするためそれだけでグラフィックボードを買える値段。
電源
- 80 PLUSのいいものを買う
- 電源の出力は、動作時の消費電力の2倍くらいのものを使う(電源出力の半分くらいが最も電力変換効率が高い)
- 100Vより200Vの方が変換効率が高い(エアコンのコンセントを使うとか)
- 最大150W程度で十分なパソコンであればACアダプタが最善。
意外とACアダプタは優秀。
80 PLUS 規格は「交流入力から直流出力へ変換において、電力変換効率が80%以上の製品に与えられる認証」。スタンダード<ブロンズ<シルバー<ゴールド<プラチナ<チタンの順で効率が高い(値段も…)
下の図は100Vと200Vでの80 PLUSゴールド電源の電力変換効率ですが、200V の方が損失が少なくなるのか効率が高い=省電力です。200Vは中々ないのが難点。
ファン
ケースファンやCPUクーラーなどのファン関連について
- DCモードのファンよりPWMモードが良い
- ヒートシンクだけから成る、いわゆるファンレスクーラーを用いる
- 中にはCPUの熱をケース全体で逃がすという際物ケースもある
ファン1コあたり5~10Wほど消費するため、少ないほど良い。
DC制御のファンでも低速回転により省エネしているようにみえるが、回転数調節時に電圧ロスが生じるため、PWM制御のファンよりも10%ほど消費電力が多くなるそうです。
→PWM制御ファン用ファンコントローラーの製作 (1)PWM制御とは?
ちなみにケースファンの至高はNoctua製のものらしい。
省エネとコスパはトレードオフの関係ですね。
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