【ファン選定】パソコン(CPU/GPU)の冷却に必要なエアフローの目安
パソコンの中でも特に発熱の大きいCPU/GPUを、目的の温度以下まで冷却するのに必要なエアフローを試算してみたいと思います。
以下のような人向けの記事です。
- ゲーミングパソコンやマイニング用PCなどのハイスぺPCを自作している
- 発熱量の大きいパーツ(ハイエンドのCPUやGPU)を組み込んでいる
- ある温度以下まで冷却するのに、どれくらいのエアフローが必要なのか知りたい
- ファンの購入を検討しているけど、風量(CFM, m3/h)の目安がわからない
あくまで、ある程度の理論的な部分をフォローしつつ、ざっくりとした目安で良い人向けです。かなり厳密に出したい方法までは記載していません(わかりません…)のでご了承ください。
エアフローの計算方法
外気温 \(Tout [℃]\) で、ケース内の装置を \(Tin [℃]\) まで冷却するのに必要なエアフロー\(Q [cfm]\)は、次の方程式で見積もることができます。
$$エアフロー Q [cfm] = 装置の総発熱量 [W] / (20 × 1.699/60 × (Tin[℃] – Tout[℃]))$$
計算式はSANYO DENKIの技術資料を参考にしています。
PCケース内を空気が通るとき、出入口の隙間やパーツなど必ず何かしらの抵抗(圧力損失)があります。そのため、ファンの回転数を100%にしてもスペック上の最大風量で換気することはほぼ不可能です。
この圧力損失の測定は難しいため、ファンの最大風量が「冷却に必要な風量Qの1.5~2倍」のものが選定の目安となります。
たとえば、
- 250W の消費電力のパソコンで、
- 外気温が30℃の時、
- ケース内部を50℃以下に抑えたい場合は、
なので、1.5~2倍して33~44 CFMのファンが必要ということです。
パソコン構成別のエアフロー目安
以下のような4タイプの構成を想定し、消費電力別にエアフローの目安を試算してみます。
想定システム | 消費電力 |
エントリークラスのゲーミングPC | 250 W |
ミドルクラスのゲーミングPC | 500 W |
ハイエンドクラスゲーミングPC | 750 W |
GPU複数枚構成(ハイエンドSLIやマイニングPC) | 1000 W |
真夏の外気温35℃でケース内部を50℃以下に抑えたい場合
最悪のケースとして真夏に日中にクーラーもつけずに使用した場合で計算してみました。
消費電力 | 必須CFM | エアフロー目安(CFM) | エアフロー目安(m3/h) |
250 W | 29.4 | 58.9 | 100 |
500 W | 58.9 | 117.7 | 200 |
750 W | 88.3 | 176.6 | 300 |
1000 W | 117.7 | 235.4 | 400 |
「エアフロー目安」は冷却に必須な風量を2倍にしたもので、この風量を確保できるようファンを設置すれば十分という指標として考えます。
室温28℃でケース内部を50℃以下に抑えたい場合
次は少し条件をゆるくしてみました。
消費電力 | 必須CFM | エアフロー目安(CFM) | エアフロー目安(m3/h) |
250 W | 20.1 | 40.1 | 68.2 |
500 W | 40.1 | 80.3 | 136.4 |
750 W | 60.2 | 120.4 | 204.5 |
1000 W | 80.3 | 160.5 | 272.7 |
結局どれくらいファンを設置すればいいか
ケースファンとして一般的な12㎝のファンを例に見てみます。
高品質と名高いNoctuaのNF-F12では、最大風量は93.4 m3/h = 53.4 CFMです。これを先ほどの想定と比較してみると、250Wまではこれ1つでもよさそうです。
ハイエンドGPUを組み込むのを想定した一般的なATXサイズのケースは、12-14cmのファンを2個並列で搭載できるものが多いです。ケースに合うようにしっかりとファンを設置すれば、自然と十分な換気量を確保できるのはさすがの設計ですね。
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